【東京外為:ドルが下落、中国経済への期待感でリスク選好戻る】
10月27日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では午後の取引にかけてドルが下落した。中国当局が10−12月期の工業生産が大幅な伸びになるとの見通しを示したことから、投資家のリスク回避姿勢が弱まるとの見方を背景に投資避難的なドル買いが鈍ったとみられている。
資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、中国経済に関する明るい見通しを受けて、「世界景気の下支え」期待が生じたと指摘。リスクを回避する動きが和らぎ、主要通貨に対してドル売り圧力が戻る格好になったと説明している。
中国工業情報省の朱宏任報道官は27日、インターネットを通じた記者会見で、中国の10−12月(第4四半期)の工業生産は前年同期比で16%増加するとの見通しを示した。
午後の取引ではドルが主要16通貨に対してほぼ全面安の展開となった。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.49ドル台前半と、前日のニューヨーク時間午後遅くに付けた1.4876ドルからドルが水準を切り下げた。
ドル・円相場は午前に一時1ドル=92円32銭と、9月21日以来のドル高値を付けていたが、取引が進むにつれて下げ基調を強めた。午後の取引後半にかけては91円台後半までドルが押し戻される場面もあった。
自国通貨高に警戒姿勢強める
ドル安の進行に伴い他通貨に上昇圧力がくすぶる中、各国の金融当局者からはけん制発言が目立っている。ニュージーランド(NZ)のキー首相は、クアラルンプールでのインタビューで、「非常に高い為替レートが、輸入インフレの懸念を相殺する一因となっている」と指摘した上で、「個人的には2009年に利上げがあれば驚きだ」と述べた。
カナダ銀行(中央銀行)のカーニー総裁も、モントリオールでの講演で、「想定以上の加ドル高」が「経済成長の足をさらに大きく引っ張り物価に一段の下落圧力を加える」恐れがあるとの見解を示している。
みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、各国の当局はかなり本気になって「通貨高による景気への悪影響を抑えたい」という姿勢になっていると説明している。
今週29日からは、2日間の日程で欧州連合(EU)首脳会議がブリュッセルで開かれる予定となっており、市場では各国からのけん制発言を警戒する声が聞かれる。
欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーで、フィンランド中銀のリッカネン総裁は、為替相場の激しい変動は景気の不透明感を高めるとの考えを示したうえで、米国の強いドル政策は、望ましい景気の展開と金融システムの安定をもたらすため、正当だと指摘した。
リスク警戒感くすぶる
米ロッチデール・セキュリティーズのアナリスト、リチャード・ボーブ氏の一部米銀に関する弱気の見通しを受けて、前日の米株相場は銀行株を中心に下落した。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)が7日以来の水準まで急上昇した。
この日の海外時間には、米国で8月のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数のほか、10月の消費者信頼感指数やリッチモンド連銀の製造業景況指数などの経済指標が発表される。
【Nikoniko FX】