【為替操作は保護主義、円高は日本経済に負担】
政府・中央銀行による為替相場の操作は保護主義であり、決してやるべきではない−。アジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネス諮問委員会(ABAC)副議長を務める相原元八郎三井物産顧問(66)は13日、シンガポールでブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、為替は貿易にとって絶対的な要素であり、安定性が重要だと語った。
相原氏は、過度のドル安や硬直的な人民元相場は望ましくないと指摘。「意識的なもの」は「ある種の保護主義だ」と述べた。「責任ある当局者」の発言で為替相場が乱高下すると、企業活動に悪影響を及ぼす恐れもあるとの見方を示した。
ABACは、APECに参加する21カ国・地域のビジネス界の代表で構成。域内唯一の公式な民間諮問機関で、貿易・投資の在り方を企業の立場から首脳や閣僚に直接提言する。相原氏は日本がAPECを主催する2010年にはABACの議長を務める。
APEC財務相会合は12日、シンガポールで発表した声明で、市場原理に基づいた為替制度を呼び掛けた。中国の胡錦濤国家主席は13日、投資と輸出への依存を減らし内需を拡大するため、「積極的」な措置を取ると表明したが、為替相場には言及しなかった。
一方、就任後初のアジア歴訪で来日したオバマ米大統領は14日、都内で演説し、米国がアジアとの関係を拡大していく決意を表明。対米貿易の黒字国との関係をより均衡のとれたものにするため、米国の輸出を拡大する重要性を強調した。
円高は日本経済に重石
相原氏は円高が行き過ぎた場合、日本経済にとって重石になると指摘。円高は輸入物価の下落を通じて国民がメリットを享受できる面があるとしながらも、「プラスマイナスゼロかというとそれは違う」述べ、輸出には「明らかに高いコストがかかる」と語った。
韓国はウォン安によって「輸出ドライブがかかり、外貨準備も一挙に増えた」が、結果的に「どこか他の国・地域にしわ寄せが来る」と話した。
昨年9月の米証券リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破たんをきっかけとする世界的な金融危機では、アジア諸国は米欧より傷が浅かったと分析。アジア経済は「かなりの勢い」で成長していると述べた。過去の円高局面では、多数の日本企業が生産拠点を海外に移したが、行く先は「ほとんどがアジアだった」とも語った。
9月に発足した鳩山由紀夫内閣は、家計支援策などによって消費を中心とする内需主導型経済への転換を志向している。相原氏は内需へのシフトは「20−30年前から言われていることだが、あまりうまくいっていない」と指摘。「外が駄目なら内で」という「生易しいものではない」と語った。
相原氏はこうした中で、人口減・高齢化を考慮すると「アジアとの連携がますます重要になる」と指摘。日本は環境分野などで優位な技術を生かし、アジアで主導権を握ろうと積極的にならないと、成長力格差を背景とした地盤沈下が進みかねないと強調した。
【Nikoniko FX】